【調査レポート】産業保健師27名が答えた
「長時間労働者フォロー基準」の実態
——御社の対応は、法令ラインで止まっていませんか?

月80時間超の面接指導は義務。でも、それだけでは遅い——産業保健師27名への実態調査から見えた、先進企業が実践している「早期フォロー」の全貌と、御社の運用を見直す3つの視点をお伝えします。

【調査概要】 産業保健師27名(企業内産業保健師22名を含む)を対象に、2026年5月に実施したアンケート調査。回答者の89%が従業員300名以上の企業に関わっており、製造業が約半数を占めます。本記事では、この調査データをもとに企業の人事・労務ご担当者に向けた解説を加えています。
27
調査回答者数
67%
基準を明文化している企業
48%
月45時間超からフォロー開始
56%
「役割分担が曖昧」と感じている保健師

「月80時間超だけ対応」では、もう遅い

安衛法上、月80時間超の時間外労働が疑われる労働者への医師・産業医による面接指導は法的義務です。しかし、この調査で浮かび上がったのは、先進企業が月45時間超から自発的にフォローを開始しているという実態でした。

フォロー対象とする時間基準(複数回答・n=27)

月45時間超
13名
48%
月80時間超
11名
41%
月60時間超
4名
15%
月100時間超
3名
11%
💡 企業担当者が知っておくべきポイント

法令対応の最低ラインである月80時間超のみで対応している場合、メンタル不調や休職が顕在化してから動くことになります。月45時間超から「気になるサイン」をキャッチし、早期に保健師が関与することで、深刻な事態への発展を予防できます。離職コスト・休職コストと比較したとき、早期フォローの投資対効果は明らかです。

フォローの標準的な流れとは

先進企業の多くで採用されている、時間基準に応じた5ステップの標準フローをご紹介します。自社の運用と照らし合わせて、抜け落ちているステップがないか確認してみてください。

📩
本人への
通知
📋
疲労蓄積度
チェック
🩺
保健師・
産業医面談
🤝
人事・
上司へ共有
🔁
翌月以降
継続確認

時間基準ごとの対応パターン

時間基準主な実施アクション
月45時間超本人への労働時間通知 / 疲労蓄積度チェック実施 / 保健師面談を案内
月60時間超本人通知+疲労蓄積度チェック / 保健師面談の原則実施 / 翌月以降の継続確認
月80時間超産業医面談を原則実施 / 疲労蓄積度チェック / 人事・労務への共有 / 残業制限の検討
月100時間超産業医面談を原則実施 / 業務調整・残業制限の発動 / 継続フォロー

現場が感じている最大の課題:「誰が何をするか」が決まっていない

調査で浮かび上がった課題の第1位は、「保健師がどこまで関与すべきか迷う」(56%)でした。フォロー基準を文書化している企業であっても、役割分担の曖昧さが現場の動きを鈍らせています。

課題として挙げられた項目(複数回答)

保健師の関与範囲が不明確
15名
56%
本人が面談を希望しない
11名
41%
事後措置につながりにくい
9名
33%
人事・労務との役割分担が曖昧
8名
30%
💡 人事担当者へのメッセージ

「産業保健師に任せているから大丈夫」は、最もリスクの高い状態です。保健師・産業医・人事・上司それぞれの役割を明確に定義し、フォローの流れを「仕組み」として設計することが、実効性のある産業保健体制の第一歩です。

御社の運用を見直す 3つのチェックポイント

調査結果をもとに、産業保健師の視点から企業が今すぐ確認すべき3つのポイントを整理しました。

01

フォロー基準は「複数段階」になっているか

月80時間超の法令対応だけでは、メンタル不調や体調悪化が顕在化してから動くことになります。先進企業の約半数が月45時間から段階的にアクションを設計しています。

月45時間:通知+疲労チェック 月60時間:保健師面談を案内 月80時間:産業医面談を原則実施
02

「誰が何をするか」が文書化されているか

最大の現場課題は役割の曖昧さです。対象者抽出は人事、通知は所属長経由、面談は保健師・産業医、業務調整は上司——各ステップの担当者を明確に定義するだけで、運用の質は大きく変わります。

03

面談後の「事後措置」まで設計されているか

面談して終わり、では産業保健の効果は半減します。翌月以降の継続確認・上司への業務調整依頼・衛生委員会での実績共有まで「フロー」として組み込むことが重要です。

翌月労働時間の確認 残業制限・就業配慮の検討 衛生委員会での実績共有
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